on the shore - オン・ザ・ショア

竹の椅子 タグ

2015.11.18 Wed

竹の椅子

古い竹の椅子、子供用の座面が低いものになります。
中国では古くから竹製の家具が使われてきたという歴史があります。しなやかで丈夫。屋外でも使えることから、人々の憩いの場やオープンカフェ(中国では何と言うかわかりませんが)でもよく使われて来ました。近代になり樹脂や鉄など、扱いやすく耐久性もあり量産ができる工業製品の椅子が作られるようになり、竹の家具は徐々に姿を消していった(現在でも椅子やスツールなど一部の製品は作られているが)、ということなのではないかと推測されます。
表面は滑らかで竹の色もきれいな飴色をしています。楔(くさび)も竹を削ったものが使われているなど、曲げたり切ったりした竹のみを用いて作られています。古くから作られてきたものなので非常にシンプルで合理的な構造です。また非常に軽いので持ち運んでアウトドアで使うのも良いのではないかと思います。

竹といえば、シャルロット・ペリアンが日本に滞在している際に竹を用いたプロダクトを多数デザイン・製作しており、近年ではカッシーナ社からも竹を使ったシェーズロングも復刻されています。また、民藝運動でも知られる陶芸家の河井寛次郎の京都にある記念館では、竹で作られたキャビネットが展示されています(作ったのは当時近くに住んでいた台湾人の家具職人だった)。
多くのデザイナーや芸術家たちが竹という素材に魅力と可能性を感じ、手がけた製品や作品の素材として選んだことは面白く興味深いと思います。

bamboo child chair / 竹の子供椅子

2014.06.11 Wed

the china tea book 1 中国茶の書籍。装丁と写真がとても綺麗です。左開きなのに文字は縦書きなので右から書かれています。なんとも中国的。
ここで発見したのが、6・7枚目の写真にのっている竹の椅子。

かの河井寛次郎が竹の家具をデザインしたことはよく知られています。幼児椅子から収納まで、彼の展示会の図録や、京都にある河井寛次郎記念館では実物を見ることもできます。デザインは氏が、実際の製作は当時近所に住んでいた台湾人の職人が作ったものだそうです。確かに台湾は竹製品の宝庫だそうで、中国も竹の取れる地方では日用品として愛用されているようです。
上海でも街角でリアカーを引いている行商や、いつも行く家具屋の倉庫にも古い物が積まれていました。これもいわるゆる「アノニマス」な製品ではないかと思います。

日本で「民藝運動」を提唱した、浜田庄司、芹沢銈介、外村吉之介らの「世界の民芸」という書籍では、欧米、北米、南米、中東、アフリカ、アジアだとタイの民芸品は紹介されていますが、なぜか中国や韓国(朝鮮)など他のアジアの国のものは紹介されていません。
朝鮮の磁器は柳宗悦も蒐集していて、駒場にある日本民芸館でもその蒐集品をたくさん見ることが出来ます。なぜ?と思っていたのですが、その理由は浜田庄司によるあとがきに書いてあります。

「「世界の民芸」という表題に対して、一番縁の深い極東の分を割愛したのが、当を得ない気がして心残りでした。
 それは、手近の極東の民藝に関しては、縁も深く選びたい物が多過ぎて、限られた掲載回数の中で、
 他の海外民芸との均衡を保つ選定が難しく、このたびは私達の眼にも、より新鮮に映る極東以外のものから選ぶことにしました」
〜引用「世界の民芸」浜田庄司によるあとがきより〜

真意はわかりませんが、もしそうであったなら、もしかするとこの竹の家具シリーズ(他にもスツールやテーブルなどがある)は彼らによって選ばれていたものなのかもしれません。人々の生活に深く根ざしたものであることは間違いないからです。

最後の8枚目の写真は筆掛け。本来の機能がそのまま形になったようなものです。
世界中の名だたるデザイナー達が中国古来からの「デザイン(文化)」に影響を受けているのはとても興味深いと思います。

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